今回は、株式投資でのリスクの意味、種類、その管理方法について解説していきます。単に「投資は怖い」と避けてしまう前にぜひこの記事で考え方を学んでいきましょう!
この記事はこんな人向け
- 「株式投資はリスクがあって怖い」
- 株式投資でリスク管理がしたい
- リスクの計算方法が知りたい
書かれていること
- リスクの意味と種類
- リスク管理と計算方法
読むと得られるメリット
株式投資のリスクをスッキリ理解できる
最終的な判断は自己責任でお願いします。株式投資は、さまざまなリスクを正しく認識したうえで、自分自身の判断と責任に基づいて行ってください。
執筆者情報
- 名前: おみくん
- 投資歴: 11年、損益レシオは2.57以上を維持。主にオニール流成長株投資を実践
- 学習量: 投資関連本200冊以上読破
- 資格・学位: 中小企業診断士(29歳で資格合格)、経営学修士(MBA、28歳で修了)、2級FP技能士
株式投資におけるリスクの意味とは?
リスクとは、「不確実性」のこと
一般的にリスクとは、危ないことや損失のことを指します。
リスク【risk】の解説
危険の生じる可能性。危険度。また、結果を予測できる度合い。予想通りにいかない可能性。「―を伴う」「―の大きい事業」「資産を分散投資して―の低減を図る」
保険で、損害を受ける可能性。
ファイナンス(金融)の世界では、リスクとは「思い通りに行かない可能性」について指すことが多いです。つまり、不確実なこと。
例えは悪いですが、「東京タワーから落ちた時人間が死ぬリスクはゼロ」、残念ながら確実に助からないでしょう。
決算発表前後にリスクが高くなるというのは、好決算とそうでない決算で市場がどう反応するか分からないということです。
リスクには変動の激しさ(ボラティリティ)という意味もある
もう一つファイナンスの世界では、リスクを「変動の激しさ(ボラティリティ)」と表現することがあります。
変動が激しいと、それだけ変動幅が大きいのでリスクが高いと表します。
上場したばかりの若いベンチャー企業は、変動することが分かっているので不確実性は高くないけど、その変動幅が大きいのでリスクが高いと言えます。
株式投資におけるリスクの種類
株式市場や取引全般に影響するリスク4選
マーケットリスク
市場リスク、システマティックリスクとも言う。
カントリーリスク
政情不安や戦争などその国が独自に抱えているもの。その対象国に投資する以上、無くすことは難しいリスク。
インフレリスク
継続的な物価上昇が原因で、金融商品が持つ価値が相対的に下がっていくリスクのこと
システミックリスク
個別の金融機関が決済不具合を起こした際に、銀行間決済ネットワークを通して、機能不全が連鎖するリスク。
A銀行から振り込まれる金額をB銀行への支払いに当てようと考えていた場合に、A銀行から振り込まれずB銀行へも支払えない、などの状況が連鎖する
企業単体で発生するリスク3選
ユニークリスク
不正会計やストライキ、工場火災などその企業単独で起こり得る悪い出来事。
分散投資により無視できるほどまでに小さくできる
流動性リスク
売りたいときにすぐに売れないリスク。
流動性(直ちに現金に交換できる可能性)が低い市場、取引量が少ない市場の場合には、売りたい分が売り切れない可能性や想定していたより安くでしか売れない場合が多い
クレジットリスク(信用リスク)
財務状況の悪化により、借入金の元本、利息が払えなくなるリスク。
株式投資においてリスク管理はどうやってするの?
リスク管理の基本
リスク管理(リスクマネジメント)の大事な部分は「リスクを見える化すること」
株式投資や投資信託をはじめ、多くの金融商品は複雑化されることが多いです。
どんなリスクを自分は取っているのか?を把握することが先決です。
どんなリスクを取っているかがあらかじめ分かっていると対処するシナリオを考えることができます。
10%下がったら半分売ろう、悪いニュースが出たら半分売ろう、業界の規制が厳しくなったら全部売ろう、という具合です。
リスクの求め方・計算方法とは?
ここではリスク=変動の激しさ(ボラティリティ)と捉えてリスクの計算方法ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ:真の値幅の平均)をご紹介します。
J・ウェルズ・ワイルダー・ジュニアというアナリストによって開発された手法で、過去や他の同業他社と比べてボラティリティの高低を把握するのに役立ちます。
計算方法は簡単で下記の中で一番大きい値をTR(トゥルー・レンジ:真の値幅)として、14日間の平均を出します。
- 当日の高値ー前日の終値
- 当日の安値ー前日の終値
- 当日の高値ー当日の安値
14日間に設定するのは慣例なので、特別な意図がなければ14日で設定すれば問題ありません。
ATRだけを見ると、値が違いするケースで同業他社との比較が難しくなります。
その場合は、割合に換算することをおすすめます。
ATR% = $ \frac{ATR}{終値} $ × 100
2022年6月時点では、ATR%が4%以上のものは比較的高リスク銘柄と言えそうです。
業種別にみると、テクノロジー企業は高リスクと言えそうです。
この他にも、リスク=不確実性と捉えて計算することもできますが、発生確率すら見越せない場合には手も足も出ません。。
(例 新型コロナウイルスの流行など)
発生が予測できないリスク:ブラックスワン。予想外で影響力の大きな出来事が起こること
リスク管理は避けることではなくリターンとのバランスを取ること
一番のリスク管理は、リスクを取らないことですが、それだとノーリスクノーリターン。つまり見返りはゼロになってしまいます。
むしろインフレ率や機会損失を考えるとマイナスリターンということもあります。
リスク管理とは、リスクを把握しうまく取ること。リスクを取るならその分をリターンを求めることです。
A:リスク(変動幅)が15%、リターンが45%
B:リスク(変動幅)が4%、リターン6%
どちらが上手いリスクの取り方でしょうか?ここまで読んでいただけた方は分かると思いますが、上手いのはAです。
この時参考にした指標は「シャープレシオ」という考え方です。
つまり、1単位のリターンを得るのに、どのくらいをリスクを取ったのか?
シャープレシオ = $ \frac{リターン}{リスク} $
Aは1リスクで3リターンを望めるのに対して、Bは1リスク1.5リターンしかありません。
逆を言うと、20%のリターンを見込んでいた時に、思惑とは逆方向に10%以上動いてしまうとシャープレシオが悪くなってしまうので、「損切り」を行なっていきます。
損切り:評価損を抱えている金融資産の損失を確定させる行為
まとめ
ポイント
- リスクとは「不確実なこと」。上がるかもしれないし下がるかもしれないということ
- リスクは大きく2種類。企業独自で抱えているものと市場全体が抱えているものがある
- リスク管理の基本は単純化し、把握しやすい形にすること